演奏家の国際的な登竜門、2010ロン=ティボー国際コンクール・バイオリン部門がパリで現地時間の13日まで行われ、成田達輝さん(18)が2位に入った。14日、日本の関係者に連絡が入った。1位はフランス人の女性。
成田さんの演奏は、超絶的テクニックと詩情豊かな音楽性が魅力。本選で弾いたラベルやシューマンのソナタで興奮したパリの聴衆が、コンクールでは止められているアンコールに無理やり成田さんを呼び戻した。2位と併せ、セサム賞(現代作品賞)も受賞した。
成田さんは「学コン」(全日本学生音楽コンクール)が生んだ逸材。札幌市出身で06年、同コンクール中学校の部の全国1位となり、彗星(すいせい)のように現れた。その時に弾いたサンサーンスが圧倒的な名演だったため、音楽家を輩出する桐朋女子高音楽科(男女共学)が特待生で迎え入れた。今年、同校を卒業した直後に異例の抜てきで伝統の「毎日ゾリステン」でリサイタルをし、絶賛を浴びた。今秋からパリ・モーリス・ラベル音楽院に留学中。
今回、世界各国から予備審査を通過した26人中、成田さんは最年少。3度の予選を経て本選にはフランス人3人、ルーマニア人1人と成田さんが残った。【梅津時比古】
毎日新聞 2010年11月15日より
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