ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は、高級感あふれる優美でデリケートな響きと、一分の隙もない素晴らしいアンサンブルをもつ、世界でも最も有名なオーケストラの一つです。ムジークフェライン大ホール(ムジークフェラインは楽友協会の意)を本拠地として活動しており、一般にはウィーン・フィルあるいは頭文字をとってVPOといって名称で呼ばれている。
創立は1842年ウィーン宮廷歌劇場のメンバーを集めて作曲家として著名なオットー・ニコライの指揮の下に行われた「フィルハーモニックアカデミー」のコンサートがウィーン・フィルの始まりだとされています。現在、ウィーン・フィルはウィーン国立歌劇場の座付きオーケストラのメンバーによって構成される自主団体です。そのため彼らの本来の活動はオペラ劇場のピットで演奏することであって、ウィーン・フィルとしての活動は付随的なものといえます。
ウィーン・フィルは、基本的には常任指揮者をおきません。あくまでも自分たちの活動をサポートしてくれる指揮者を選ぶというスタンスに立っています。メンバーはほとんどがウィーン国立音楽大学出身で、しかも先輩団員から直接指導を受け(多くの団員は演奏活動のかたわらウィーン国立音楽大学で教鞭をとっている)、採用される前から補助団員としてウィーン・フィルの演奏に参加している者が半数以上います。
ウィーン・フィルの高い演奏水準の維持は演奏者の性別や民族の均一性によるところが大きいと言われていますが、あわせて伝統的な奏法・独自の音色をかたくなに守り続けるその姿勢にあります。その独特の音色の秘密として、管楽器はウィンナ・ホルン、ウィンナ・オーボエなどウィーン・フィル独自の構造のものが使われており、また弦楽器は、コンサートマスターを除いて同じオトマール・ラング工房で製作されたものが用いられています。
定期演奏会は9月〜6月にかけて毎月一回程度、日曜日午前11時開始、年10回である。夜はオペラ公演を行うため、ウィーン・フィルの定期演奏会と公開ゲネラルプローベは昼間に行われています。オペラ公演の他、ザルツブルク音楽祭への出演やウィーン芸術週間への出演、随時特別演奏会も行っている。
レパートリーはドイツの古典派・ロマン派を中心にした、かなり狭いものですが、艶やかな弦楽器のヴィブラートや、管弦が渾然一体となった独特に響きは、世界中のファンを魅了し続けています。
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